その一
「ハァッ、ハァッ、ハッ」
息を切らしながら駅へと走って向かう。次の電車まであと7分。遅刻だけはしたくない。タクシー代がかかるのと、遅れると気分が悪い。この時期特有の朝の心地よい日差しと、身を刺すような寒さに身を馴染ませながらゆっくりと歩いていきたいのが本音なのだが、そんな時間はない。そして、駅に着く頃には俺の体はすっかり温まり、着ていたジャケットを脱ぎ、電車に乗り込む。これが俺の日常。朝起きてからシャワーを浴び、アンパンとバナナを食べ、牛乳を飲むことはもはやルーチンになってしまっている。その後は歯を磨き…と準備をしているといつもギリギリになってしまう。
現在俺は親元から離れ、フリーター生活を送っている。今の生活どう?と聞かれて、俺は何て答えるだろう?そして、どうしてこのような生活になったのか、まずは時間を大学時代に戻そう。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・
一年の東京での浪人生活を経て、俺は無事大学に進学した。関東の国立で知名度はまぁまぁだろうか。俺は父親出身の影響もあり、第一志望は私立の2強だったのだが、残念ながら叶わなかった。たまたまセンター試験を受けていたので国立でどこか受けようかという話になり、「じゃあここで。関東だし、東京にも近いし。」という感じにふらふらと大学を受験し、受かったからふらふらとそこに決めた。第一志望に落ち、そのあとは勉強に手をつけず、その末にふらふらと入った大学。ここで俺はどんな生活を送るのだろうと、半ば投げやりな思いでキャンパスに足を踏み入れたのを思い出す。だが、俺の期待は良い意味で大きく裏切られることになる。そして同時に、自由という足枷をはめられたことで自己と向き合うことになるのだ。
続く
このブログへのコメントは muragonにログインするか、
SNSアカウントを使用してください。